春になると店先をにぎやかに彩るイチゴ。
大好きって方も多いかと思いますが、今回はイチゴを自分で育てちゃう方法をご紹介します。
■イチゴってどんなフルーツ?
馴染みがありすぎてイマサラって気もしないでもないですが、いちおう調べてみました。
イチゴはバラ科の多年草で、食用になるのは実は果実ではなく、花床と呼ばれる部分です。
実際の果実はタネに見えるひとつひとつの粒です。
食用にされた歴史は古く、紀元前3700年前のスープからイチゴが見つかったという記録があります。
古代ローマではすでに栽培が行われていて、16世紀頃には様々な品種が栽培されていたようです。
現在イチゴとして流通しているものは、ほとんどがオランダイチゴ属の栽培種オランダイチゴです。
オランダイチゴは、18世紀にオランダの農園で、北米産のバージニアイチゴとチリ産のチリイチゴとの交配で作られました。
日本に入ってきたのは江戸時代で、明治に入ってから本格的な栽培が始まりました。
イチゴにはビタミンCが豊富で、5~6粒ほどで大人の1日の所要量を満たすほどです。
その他、ポリフェノールの一種であるアントシアニンも含まれています。
■イチゴの品種
イチゴの品種は登録品種だけでも250種以上と非常に多いですが、ここでは主な品種だけを数種取り上げたいと思います。
とよのか
野菜試験場久留米支場が「ひみこ」に「はるのか」を交配し、さらに選抜を重ねながら育成しました。
大粒で甘く酸味が少ないという特徴があります。
九州を中心に広く栽培されています。
女峰
栃木県農業試験場によって「はるのか」「ダナー」「麗紅」を交配して作られました。
九州の「とよのか」に対抗して開発されたそうです。
糖度がとても高くて酸味も適度にあり、甘酸っぱい味が特徴となっています。
日光三山のひとつ、女峰山にちなんで名づけられました。
章姫
静岡の萩原章弘氏によって、「女峰」と「久能早生」を交配されて作られました。
女峰の酸味、病害抵抗性などを解決するために改良され、品種名は、品種改良者の章の字にちなんで命名されています。
糖度は高く、酸度は少ないのが特徴です。
とちおとめ
栃木県農業試験場により「とよのか」と「女峰」、さらに「栃の峰」を交配することで作られました。
女峰よりも粒が大きめで甘さも強く、日持ちが良い品種です。
これまでの二大品種であった「とよのか」や「女峰」に代わり、現在、日本一の生産量を誇ります。
あまおう
福岡県農業総合試験場園芸研究所で開発されました。
「あ」かい「ま」るい「お」おきい「う」まいの頭文字をとって名づけられています。
福岡県では「とよのか」から急速に「あまおう」に栽培品種が置き換わってきています。
■イチゴのタネ蒔きと育て方
タネ蒔きと発芽
イチゴのタネは小さいので、市販のイチゴからタネを取るときにはちょっと工夫がいります。
イチゴの表面をナイフやスプーンで(怪我に注意しましょうね)薄く削ぎ、キッチンペーパーなどの上にひと晩置いておきます。
すると実が乾燥して、タネを楽に取ることができます。
タネを集めたら、水の入った容器に入れて撹拌し、底に沈んだタネだけを使用します。
水に浮くタネは中身がスカスカですので発芽しません。
イチゴのタネには独特な性質があります。
それは休眠するということです。
1度冬の寒さを経験しないと発芽しないのです。
あくまで自然な発芽にこだわりたいというのなら、その自然の法則に従うのも手ですが、発芽までに1ヶ月以上と時間がかかってしまいます。
そんなに待っていられないよーという向きには、冷蔵庫で冷やしてから植えるという荒業(笑)もあります。
この方法だと2週間ぐらいで芽が出るそうです。
また、イチゴのタネ・苗は非常にデリケートで、発芽や生育にいくつか条件があります。
- 日当たりが良くないと芽が出ない。
- たっぷりの水が必要。
- 酸性土壌を好む。
- 発芽温度は20~25℃
- カビや雑菌に弱い。
上記のように気温にも条件がありますので、冷蔵庫方式をつかう場合、タネ蒔きは3月下旬頃がいいでしょう。
タネ蒔き用土ポットにひとつづつ蒔くか、浅いトレーに培養土またはイチゴ専用の土などを入れて蒔きます。
タネを蒔いたら、日当たりや水切れ、カビに注意します。
環境が整っていれば、10日から2週間ほどで小さな芽が出てきます。
本葉が3、4枚ほど出てきたら植え替え時期です。
苗の育成
本葉が出てからも、水切れや肥料切れに引き続き気をつけます。
手っ取り早い方法は霧吹きに少量の液肥を加え、吹きかける方法です。
そうすることで、葉と根の両方から肥料を与えることができ、過剰な水やりや追肥で苗を痛めるのを防ぐことができます。
イチゴの根は非常に細いので、植え替え時に傷をつけないように最新の注意を払います。
タネ蒔き用土ポットを利用している場合には、そのまま植え替えできるのでカンタンです。
順調に育つと、10月頃までの間にランナーがたくさん出てきますが、実に栄養を与えるためにすべて摘み取ってしまいます。
また、10月から11月頃に花が咲くことがありますが、この時期の花が実をつけることはありませんので、こちらもすべて摘み取ってしまいます。
受粉と収穫
翌年の4月頃に小さな白い花が咲きます。
イチゴは他家受粉の植物なので、違う株同士で受粉させます。
ハウス栽培の農家などでは、ハウス内にミツバチを放して受粉させたりします。
しかし、さすがにそれは大変だと思いますので、筆やブラシを使って人工授粉させる方法がおススメです。
受粉がうまくいかないと形が歪になってしまいますが、このような実は摘んでしまいましょう。
収穫時期は5月中旬から6月中旬です。
開花から約30日ほどになります。
実が赤くなってくると鳥や虫に狙われますので、防虫ネットなどの対策が必要です。
■失敗しないイチゴ作り。ここだけは注意しよう
最後に、イチゴを育てるとき、ここは特に要注意ということをお伝えしますね。
イチゴはとにかく繊細な植物です。
植え替え時に根が傷付いたり、乾燥具合や日照など、ちょっとした環境の変化にも弱いのです。
また、雑草にも負けやすいので、常日頃からこまめなメンテナンスが必要です。
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